「ロボット開発における標準化について」

 日本知財標準事務所 知財標準化事業部長 藤代尚武

技術の標準化については、従来は、業界団体や学会が中心となって行っていました。しかし、現在では、多様な技術が分野の垣根を越えて絡み合っており、特定の団体で自己完結して行うには複雑化し過ぎています。そこで、日本知財標準事務所では、技術の標準化に関係する人達を調整して『ルール形成の場を提供する』サービスを行っています。「ワークロイドの普及をユーザーから考える会」の発足のきっかけになったのも、特定業界の各社が、秘密保持契約を結んで同じようなロボットをバラバラに開発する不効率性が生じているので、共通ニーズに基づくロボットを共通仕様で共同利用できる枠組みが出来ないかという考えからでした。日本知財標準事務所が推進している技術の標準化は、「ワークロイドの普及をユーザーから考える会」が思い描く、再利用可能なコンポーネントの規格化の考え方に近いものだと思われます。また、コンポーネントの規格化を通して、それによって組み立てられたロボットが提供するサービスの品質維持も可能となります。今回は、経産省で工業標準調査室長や国際標準課長などを務め、あらゆる産業分野の標準化、認証の豊富な経験をお持ちの藤代尚武様に、現在進められている技術の標準化についてお話しをお聞きしました。