中長期ヴィジョン

~ワークロイドの実現に向けて~

私は、日本のヒューマノイド研究の草分け、故加藤一郎先生の意思を継ぎ、早稲田大学でヒューマノイド研究をしてきました。その過程で、現場、すなわち、ロボット・ユーザーの声がロボット開発の根源にあるとの確信に至りました。そして、サービス・ロボットが、少子高齢化、労働人口減少問題の解決策として期待される中で、ロボット開発にはロボット・ユーザー主体の団体が必要だと考えました。
2019年10月、ロボット・ユーザー主体の団体設立に向けた第1回設立準備委員会を開催しました。その後、隔週で委員会を開催し、ワークロイドのコンセプトの検討を進めました。
2021年4月、本会の創立総会をオンラインで開催し、活動がスタートしました。
2021年6月からワークロイドの啓蒙を図るため、ワークロイド研究会でセミナーを開催しました。
そして、これからは、ワークロイド研究会を、ロボット・ユーザーのニーズとアカデミアの知見をぶつけ合うワークロイドの実現に向けた検討会に移行したいと思います。
メンターとして、私の他、イタリア・バイオロボティクス研究所所長パオロ・ダリオ教授、ドイツ・ミュンヘン工科大学トーマス・ボック教授が役割を果たします。
新しいロボットの概念であるワークロイドが実現するかどうかは、誰も分かりません。
その実現は、ロボット・ユーザーを始めとするロボット関係者と我々アカデミアのエネルギーにかかっています。
諸君、一緒にワークロイドで世界を変えようではないか。
さあ、これからワークロイドの話をしよう。

2019年11月9日
ワークロイドのコンセプト提唱者
一般社団法人ワークロイド・ユーザーズ協会
会長 高西淳夫

1.ワークロイドのコンセプト

従来のサービス・ロボットは特定の労働に対して一塊のロボットとして制作するのに対して、ワークロイドは労働を構成する作業単位の単機能のロボットとして制作し、それらワークロイドが共同して一つの労働を提供します。サービスに応じてワークロイドを組み合わせて使用するロボット・サービスです。単機能化することで開発費用を抑え、各労働に共通する作業は既存のワークロイドを再利用します。新たな開発においては、既存のワークロイドを利用することで開発費用を抑えることができます。ワークロイドを通してロボットを一般化し、必要とする全ての人々に、必要なロボット・サービスを提供する、そんな世界を実現したいと考えています。

2.中期ヴィジョン:ワークロイドの実現

ワークロイドのコンセプトのロボットを3年を目標に実現させたいと考えています。ワークロイドの実現に向けたメンターとして、高西淳夫会長の他、名誉会員 パオロ・ダリオ教授(イタリア、バイオロボティクス研究所所長)、トーマス・ボック教授(ドイツ、ミュンヘン工科大学)が役割を果たします。(以下、敬称省略)

 早稲田大学 教授 高西淳夫

 バイオロボティクス研究所 所長 パオロ・ダリオ

 ミュンヘン工科大学 教授 トーマス・ボック

ワークロイドを実現するためのサービス分野のテーマは、プラント建設工事と有機米農業です。プラント建設工事は、日揮グローバル㈱、有機米農業は有機米デザイン㈱がそれぞれ幹事会員となって進めます。

プラント建設工事のテーマを担当する日揮グローバル㈱は、1928年創業の日本を代表する総合エンジニアリング企業グループ、日揮グループの海外プロジェクトを担う中核企業です。これまでに80ヵ国で20,000件のプロジェクトを遂行し、大規模プラント現場では約30,000人の作業員を動員しています。プラント建設現場では、土木・コンクリート・ 鉄骨・ 建屋・ 機器据付・配管・電気・計装・保温・塗装・耐火等の多種多様な工事が施工されており、特殊性のある工事から一般的な工事まで幅広くあります。プラント建設工事において、職工不足・品質問題を解決するため、人への依存度を低めた工事施工が課題となっています。2018年、日揮グループとして、2030年をターゲットとする新たなIT戦略「ITグランドプラン2030」を策定しました。その中で建設工事に対しては「ロボットを活用した建設現場の工場化・無人化」を掲げています。作業単位の単機能のワークロイドのコンセプトは、多様なプラント工事作業に適合すると考えられます。

https://www.jgc.com/jp/news/2018/20181218.html

有機米農業については、政府の農業政策に対する国家戦略「みどりの食料システム」の中で、2050年までに有機農業の耕地面積を0.2%から25%(100ha)へ拡大し、労働安全性・労働生産性の向上と生産者の裾野を拡大することを目標にしています。有機米は、高付加価値な米である一方で、一般的な農業比べて人手がかかるため、生産性の向上が課題となっています。特に、除草作業が通常の農作業に比べて5倍の手間がかかることが問題となっています。そこで、有機米デザイン㈱は、水田の雑草生育抑制を図るアイガモ・ロボットを有機米生産者とともに開発中です。アイガモ・ロボットで、除草作業を自動化して生産性を向上させ、耕地面積の拡大を目指しています。アイガモ・ロボット以外にも有機米農業の生産性の向上に貢献できるワークロイドの可能性を検討したいと考えています。

https://www.ymd1122.com/

3.長期ヴィジョン:ロボットの裾野産業の成長の実現

ワークロイドでは、ロボットを必要とする全ての人々に、必要とされるロボットを提供することを実現したいと考えています。そのためには、安全に幅広く多様な方々に利用できる環境作りとして、ワークロイドの規格化・標準化が必要だと考えています。ワークロイドは、様々なサービスに対応して多様なワークロイドを組み合わせて利用することを想定しています。そのため、パーツ、ユニット、通信プロトコルなどの規格化・標準化が必要になります。そして、規格化・標準化は、ワークロイドのロボット・システム・インテグレーターの教育基盤としても有効です。

規格化・標準化されたワークロイドは、教育されたロボット・システム・インテグレーターが推進力となり、品質維持を保ちながた社会に浸透していきます。その流れの中で、技術力はあるが、産業構造の転換で有効な活路を見いだせない中小・中堅企業に対して、ロボット産業への参入機会を提供し、ロボットの裾野産業の成長に貢献できればと考えています。

ワークロイドによって創造される世界は、ロボット産業に留まることなく、複雑化する社会課題の解決や労働者不足の解消をもたらし、そして、さらなる革新技術により日本の文化や強みを組込んだ新しい価値創出体系を構築し、世界の持続的成長に貢献することでしょう。

以上